労務

最低賃金制度と違反した場合の労基署対応

宇都宮法律事務所 所長 弁護士 山本 祐輔

監修弁護士 山本 祐輔弁護士法人ALG&Associates 宇都宮法律事務所 所長 弁護士

賃金については、最低限度の金額の定めがあります。それに違反する場合は、労働基準監督署から是正措置を受けたり、場合によっては罰則の対象となったりすることもあり得ます。

最低賃金制度の概要

最低賃金制度とは、国が労働契約における賃金の最低額を定め、使用者に対して同基準の遵守を求めるものです。

地域別最低賃金

地域ごとに異なる最低賃金額を定めるもので、地域ごとの生計費や産業構造などの違いが考慮されます。

特定最低賃金

労働者または使用者が、当該労働者または使用者に適用される一定の事業または職業にかかる賃金の最低額を、決定改正または廃止することができるものです。

最低賃金の減額特例について

一般の労働者に比して著しく労働能力が低いと認められる特定の労働者については、使用者が都道府県労働局長の許可を受けることで、個別に最低賃金額を減額することができます。

最低賃金法に違反した場合のリスク・罰則とは?

地域別最低賃金の規定への違反については、50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
特定最低賃金も、船員にかかる場合は、同様の罰則があります。

最低賃金制度に違反した場合の労基署対応

最低賃金制度への違反がある場合は、労働者からの申告に基づき、労働基準監督署から是正措置をとるよう求められることがあります。

労働基準監督署による立ち入り調査

最低賃金制度違反の申告がある場合、事実関係の確認のため、労働基準監督署により立入調査が行われることがあります。調査時は、賃金支払や労働時間に関する資料の提出を求められることなどが考えられ、日頃からきちんと整理しておくのがいいのではないでしょうか。

立ち入り調査(臨検監督)の種類

立ち入り調査には、定期的なもの、労災事故の発生に対応するもの、労働者の申告に対して行われるものといった種類があります。

立ち入り調査でやってはいけない対応とは?

調査拒否、虚偽陳述、ごまかしやぼやかし、資料隠匿、こういった対応は行なわない方がよいでしょう。
また、確認できていなかったり、曖昧だったりする事実関係を断定的に述べるようなことも、しない方がよいと思われます。

弁護士の立ち会いを依頼すべき理由

立入調査でうまく話をしたり、資料を説明、提出する自信がなかったりする場合には、弁護士の立会を依頼することも一つの方法であると思われます。

違反が認められた場合の是正勧告書の交付

調査の結果、違反が認められる場合には、是正勧告書が交付され、是正措置を講じていくことが求められることとなります。

是正報告書の作成・提出

是正措置を講じたのであれば、それを報告書にまとめて労働基準監督署に提出することとなります。あくまで、指摘された不備に対し是正の具体的措置をとったことを報告するものであり、弁明等は記載するべきでないでしょう。

指導票を交付された場合の対応は?

指導票については、是正を勧告されているまでではないと解するかもしれません。しかし、労働基準監督署が指導をしてくることの意味合いは軽くとらえるべきではなく、指摘に対する是正を講じ、報告を行うこととするべきでしょう。

是正勧告に従わない場合は逮捕・送検のおそれ

是正勧告それ自体に法的拘束力はありません。ただ、是正勧告がなされているということは、労働基準監督署が法令違反ありとみているということなので、是正を行なわない場合には、違反に対して罰則が適用されることがあり得ます。

最低賃金制度に違反しないために企業がとるべき対策

最低賃金制度への違反がないか、企業はこまめに自身の運用確認を行わなければなりません。

最低賃金を下回っていないか確認する方法

現在の基準額を確認し、労働者への支給額と労働時間を確認、それを照らし合わせることです。つまり、日頃から賃金支払状況をしっかりと整理、把握しておくことが重要だということです。

最低賃金にまつわる裁判例

事件の概要

タクシー乗務員が、支給給与は最低賃金額を下回っているとして、不足分を請求した。

裁判所の判断(事件番号・裁判年月日・裁判所・裁判種類)

奈良地方裁判所平成25年3月26日判決

ポイント・解説

最低賃金額計算の上では、歩合給も含まれることを基礎にしつつ、いくつかの手当類について、雇用契約に基づく労務提供の対価と認定しきれないなどから歩合給に含めないとしている。

労働基準監督署への対応でお困りなら弁護士にご相談ください。

最低賃金制度については、基準が時に変わったり、賃金支払状況が企業自体で正確に把握できていなかったりで、問題として生じることがあります。それへの対応に悩まれる場合は、一度弁護士へご相談ください。

宇都宮法律事務所 所長 弁護士 山本 祐輔
監修:弁護士 山本 祐輔弁護士法人ALG&Associates 宇都宮法律事務所 所長
保有資格弁護士(栃木県弁護士会所属・登録番号:43946)
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