監修弁護士 山本 祐輔弁護士法人ALG&Associates 宇都宮法律事務所 所長 弁護士
「事故は終わったはずなのに、数日後になって首や腰が痛み始めた・・」思いがけない症状に、不安や戸惑いを感じている方も多いでしょう。
交通事故によるケガは、事故直後には気づかなくても、時間の経過とともに症状が現れることがあります。
こうした痛みを放置してしまうと、治療が長引くだけでなく、十分な賠償を受けられなくなるおそれがあるため注意が必要です。
そこで、この記事では、交通事故後に痛みが出てきたときの適切な対処法について、わかりやすく解説します。
交通事故で後から痛みが出た場合の対処法
交通事故の直後は、興奮や緊張から痛みを感じにくく、「大丈夫」と思っていても、数日後に痛みや不調が現れることがあります。
特に、追突事故で起こりやすいむちうちは、後から首の痛みやこり、頭痛、めまい、しびれなどの症状が出るケースが少なくありません。
軽いケガだと思って放置すると、症状の悪化や長期化のおそれがあるほか、治療費や慰謝料の請求において適正な対処、結果を得られない可能性があるため注意が必要です。
以下では、交通事故後に痛みが現れたときの適切な対処法について解説します。
①できるだけ早く病院(整形外科)を受診する
交通事故の後に痛みや違和感が出てきた場合は、「そのうち良くなるだろう」と放置せず、できるだけ早く、整形外科などの病院を受診しましょう。
交通事故によるケガは、見た目では異常がなくても、筋肉や神経、骨にダメージを受けている可能性があります。また、症状によってはCT、MRIなどの検査が必要になることもあるため、設備が整った総合病院を受診すると安心です。
早めに診察を受けることで、症状に応じた適切な治療を開始できるだけでなく、ケガの悪化を防ぐことにもつながります。
受診が遅れるとどんなリスクがある?
病院への受診が遅れると、症状が悪化したり、後遺症が残ったりするおそれがあります。
また、事故から初診までの期間が空くと、相手方の保険会社から「その症状は事故以外が原因ではないか」と疑われることがあります。
事故とケガとの因果関係が認められなければ、そもそも治療費や慰謝料などを受け取れなくなるおそれがあるため注意が必要です。
さらに、時間の経過によって検査で異常が確認しにくくなり、後遺障害等級認定で不利になる可能性もあります。事故後に痛みや違和感があるときは、早めに受診することが大切です。
整骨院や接骨院に通ってもいい?
整骨院や接骨院に通うことは可能ですが、初診は整形外科を受診することをおすすめします。
整骨院や接骨院では医師による診察を受けることができず、交通事故との因果関係を証明するうえで重要な診断書も発行できないためです。
また、整骨院や接骨院だけに通っていると、保険会社から治療の必要性について疑問を持たれ、治療費や慰謝料の支払いが認められにくくなる可能性もあります。
その他、医師によっては整骨院等の併用をそもそも認めず、そちらにも通うのであれば病院での治療の継続に応じられない、後遺障害診断書を作成できないとする場合があり、整骨院や接骨院を利用したい場合は、まず整形外科を受診して併用を相談し、医師の許可をもらってから通院するのが望ましいでしょう。
②医師に診断書を作成してもらう
病院を受診したら、医師に診断書を作成してもらいましょう。
事故を警察へ届け出たときにケガを申告していないと、物損事故として処理されていることがあります。
しかし、診断書を警察へ提出することで、人身事故へ切り替えられる可能性があります。
また、診断書は、治療費や慰謝料などを請求するときや、後遺症が残った場合の後遺障害等級認定の際にも必要となるものです。
適切な賠償を受けるためにも、医師に自覚症状を漏れなく伝えて、診断書を取得しておくことが大切です。
③加害者側の保険会社に連絡する
事故後に痛みが出てきたら、病院を受診するとともに、できるだけ早く加害者側の保険会社にも連絡しましょう。
加害者が任意保険に加入している場合は、「任意一括対応」によって、保険会社が病院へ直接治療費を支払ってくれるケースが一般的です。
しかし、保険会社にケガの発生や通院の事実を伝えていなければ、このような対応を受けられないおそれがあります。
また、事故から時間が経ってから申告すると、交通事故との因果関係を疑われる可能性もあるため、早めの連絡を心がけましょう。
④物損事故から人身事故に切り替える
事故直後にケガがないと思い、物損事故として届け出ているケースは少なくありません。
しかし、後から痛みが出た場合は、人身事故への切り替えを検討した方がよいでしょう。
人身事故として扱われると、交通事故によるケガが公的に記録されるため、保険会社に対する治療費や慰謝料などの請求を進めやすくなります。
また、人身事故として扱われると、警察によって実況見分調書が作成されます。
これは、過失割合などで争いになったときに、事故状況を客観的に示す資料として活用することが可能です。
人身事故に切り替える方法
物損事故から人身事故へ切り替えるには、まず病院を受診し、医師に診断書を作成してもらうことが必要です。
そのうえで、事故地を管轄する警察署へ連絡し、人身事故への切り替えを希望する旨を伝え、診断書などの必要書類を提出します。
その後、警察による実況見分や事情聴取が行われます。
人身事故への切り替えに期限はありませんが、時間が経つほど受理されにくくなるため、事故日から10日以内に行うのが望ましいでしょう。
具体的な期限は警察署によって異なるため、事前に確認しておくと万全です。
後から痛みが出た場合でも請求できる損害賠償金
事故との因果関係が認められれば、後から痛みが出た場合でも、以下のような損害賠償金を請求することができます。
- 治療費:診察料や検査費用、薬代、入院費用など
- 通院交通費:通院の際にかかった、電車・バス代など
- 休業損害:ケガで仕事を休んだために減った収入への補償
- 入通院慰謝料:入院や通院を余儀なくされた精神的苦痛への慰謝料
- 後遺障害慰謝料:後遺症が残り、後遺障害等級として認定された場合に請求できる慰謝料
- 後遺障害逸失利益:後遺障害によって将来の収入減少が見込まれる場合の補償
まずは交通事故チームのスタッフが丁寧に分かりやすくご対応いたします
示談成立後に痛みが出たら…損害賠償金の請求は可能?
示談が成立した後に、痛みやしびれなどの症状が現れることは少なくありません。
しかし、一度示談が成立すると、原則として追加の損害賠償請求や、示談のやり直しはできなくなります。多くの示談書には「本件事故に関して今後一切請求しない」といった清算条項が盛り込まれているためです。
示談に応じる前には、痛みや違和感などがないか確認し、治療が必要な場合は示談を急がないことが大切です。
もっとも、示談成立後であっても、例外的に追加の請求が認められるケースがあります。以下で詳しく見ていきましょう。
示談成立後でも損害賠償金が請求できるケース
不当な示談が行われた場合
示談は一度成立すると原則としてやり直すことができません。
しかし、加害者から脅迫されたり、だまされたりして示談に応じた場合には、示談そのものが無効となる可能性があります。
例えば、「示談に応じなければ危害を加える」と脅されて示談した場合や、「これ以上の賠償は受けられない」「早くサインしないと保険金が出ない」など嘘をつかれ、被害者が誤解して示談した場合などが代表例です。
このようなケースでは、被害者が自らの意思で示談したとはいえないため、示談の取消しを主張できる可能性があります。
物損部分についてのみ示談した場合
交通事故の示談は、車の修理費などの損害部分と、治療費や慰謝料などの人身部分に分けて行うことが可能です。
物損部分についてのみ示談していた場合は、示談成立後に痛みが現れたとしても、治療費や慰謝料などを別途請求できる可能性があります。
示談書に「示談書(物損)」「損害は物損のみ」といった記載がある場合は、物損部分のみを対象とした示談であると考えられます。
まずは示談書の内容を確認し、人身部分が示談の対象に含まれているかどうかを確認することが必要です。
示談書に「別途協議する」旨の文言がある場合
示談書に「別途協議する」といった文言がある場合は、示談成立後でも追加の損害賠償を請求できる可能性があります。
これは、将来発生する損害について当事者間で最終的な合意ができていないためです。
そのため、後から痛みが現れた場合でも、治療費や慰謝料を請求できる可能性があります。
示談書に次のような文言がないか確認してみましょう。
- 「物的損害のみ示談とし、人身損害については別途協議する」
- 「示談後に新たな損害が判明した場合は別途協議する」
- 「後遺障害部分については別途協議する」
後から痛みが出たときに弁護士に依頼するメリット
交通事故の後に痛みが出た場合は、できるだけ早く弁護士へ相談することをおすすめします。
弁護士であれば、人身事故への切り替えの手続きや適切な通院方法、事故と症状との因果関係をどのように証明すべきかなど、状況に応じたアドバイスを受けることが可能です。
また、相手方の保険会社との連絡や示談交渉を任せられるため、精神的な負担が軽くなり、治療に専念しやすくなります。
さらに、弁護士は適正な慰謝料額を算定したうえで保険会社と交渉するため、賠償金の増額が期待できる点もメリットです。
後から痛みが出てきてお困りの際は、なるべく早めに弁護士までご相談ください。
後から現れた痛みへの対応が遅れると、治療費や慰謝料などの補償を十分に受けられなくなるおそれがあります。
弁護士に相談すれば、今後の対応方法や損害賠償請求などについてアドバイスを受けられるだけでなく、保険会社との交渉も任せることが可能です。
また、弁護士が介入することで、弁護士基準による慰謝料請求が可能となり、賠償金の増額の可能性も高まります。
後から痛みが出てお困りの方は、一人で悩まず、交通事故の解決実績が豊富な弁護士法人ALGへお早めにご相談ください。

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保有資格弁護士(栃木県弁護士会所属・登録番号:43946)
