監修弁護士 山本 祐輔弁護士法人ALG&Associates 宇都宮法律事務所 所長 弁護士
交通事故の直後は痛みがなくても、少し経ってから腰に痛みが出てくるケースは珍しくありません。「大丈夫だと思っていたのに」と不安になり、どう対処すればよいのか悩む方も多いでしょう。
しかし、対応が遅れると、適切な治療を受ける機会を逃すだけでなく、賠償金においても不利になるおそれがあります。そのため、早い段階で正しい対応をとることが大切です。
本記事では、事故後しばらくしてから腰の痛みが出てきたときの対処法について解説します。
目次
交通事故で腰の痛みが後から出る原因
交通事故では、直後に痛みを感じなくても、時間が経つにつれて腰痛やしびれなどが現れることがあります。
これは、事故の衝撃により腰の内部にダメージが生じているためです。
主な原因例として、以下が考えられます。
- 腰椎捻挫(むちうち):腰の筋肉や靭帯が傷つき、炎症している状態
- 椎間板ヘルニア:椎間板の一部が飛び出して、神経を圧迫している状態
- 腰部脊柱管狭窄症:神経の通り道である脊柱管が狭くなり、神経が圧迫されている状態
- 腰椎圧迫骨折:腰の骨が押しつぶされるように折れている状態
交通事故で後から腰の痛みが出たときの対処法
①すぐに病院を受診する
交通事故後、しばらくしてから腰の痛みが出てきたときは、できるだけ早く整形外科を受診することが重要です。
受診までに時間が空いてしまうと、保険会社から事故との因果関係を疑われ、賠償金の支払いに影響が出るおそれがあります。
少なくとも10日以内には受診するようにしましょう。また、整形外科と整骨院どちらに行くべきか迷う方も多いですが、初診は整形外科を選ぶことが必要です。
交通事故によるケガであることを証明する診断書は、医師しか作成できないためです。
②病院で診断書をもらう
病院を受診したら、医師に診断書を作成してもらいましょう。
診断書には、交通事故によるケガであることや傷病名、症状の内容、治療の必要性などを記載してもらうことが必要です。
警察にケガの申告をしていないと、物損事故として処理されています。
事故から受診までの期間が短ければ、診断書を警察に提出することで、人身事故に切り替えられる可能性があります。
また、診断書は治療費や慰謝料の請求や、後遺障害等級認定の場面でも欠かせない重要な書類です。適切な賠償を受けるためにも、取得しておきましょう。
③双方の保険会社に連絡する
事故後に腰の痛みが出てきた場合は、自分の保険会社と加害者側の任意保険会社の両方に、できるだけ早く連絡しましょう。
加害者が任意保険に加入していれば、通常は保険会社が病院へ治療費を直接支払ってくれます。ただし、後から症状が出た事実をきちんと伝えておかないと、治療費を立て替えなければならなくなり得ます。
また、加入している保険の内容によっては、自分の保険会社からも保険金を受け取れる場合があるため、あわせて連絡しておくことが重要です。
④警察で物損事故から人身事故へ切り替える
診断書を受け取ったら、物損事故から人身事故へ切り替える手続きを行いましょう。
まず事故現場を管轄する警察署へ連絡し、切り替えの意思を伝えることが必要です。
そのうえで、診断書や車検証、身分証明書などを持参して警察署で手続きすると、人身事故として扱われるようになります。
人身事故に切り替えることで、ケガが正式に認められ、治療費や慰謝料の請求ができるようになります。
切り替えに期限はありませんが、一般的には事故から10日以内が目安とされ、それを過ぎると対応をしてもらいにくくなるため注意が必要です。
また、旅行先など遠方で事故に遭い、警察署へ出向くのが難しいときは、事前に相談することが大切です。状況に応じて、郵送や電話で対応してもらえることもあります。
交通事故で腰痛になった場合に請求できる慰謝料相場
入通院慰謝料
交通事故で腰を痛めて治療を受けた場合は、入院や通院による負担への補償として、入通院慰謝料を請求することができます。
例えば、レントゲンなどで異常が見つからない腰椎捻挫(むちうち)でも、通院日数に応じた慰謝料が認められます。
月に10日通院したときの慰謝料の目安は、以下のとおりです。
| 通院期間 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
|---|---|---|
| 1ヶ月 | 8万6000円 | 19万円 |
| 2ヶ月 | 17万2000円 | 36万円 |
| 3ヶ月 | 25万8000円 | 53万円 |
| 4ヶ月 | 34万4000円 | 67万円 |
| 5ヶ月 | 43万円 | 79万円 |
| 6ヶ月 | 51万6000円 | 89万円 |
自賠責基準では、通院日数に応じて自動的に金額が決まります。
一方、弁護士基準では、裁判例をもとに、通院期間やケガの内容などを踏まえて算定されるのが特徴です。
そのため、実際の症状や負担に見合った高額な慰謝料が認められやすい傾向があります。
後遺障害慰謝料
治療を続けても腰の痛みやしびれが残るときは、後遺障害等級認定の申請を行う必要があります。
等級が認定されると、後遺症が残ったことによる精神的な苦痛に対して、後遺障害慰謝料を受け取ることが可能です。
例えば、腰椎捻挫では、14級9号または12級13号に認定される可能性があります。
慰謝料の相場は以下のとおりです。
| 後遺障害等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
|---|---|---|
| 12級13号 | 94万円 | 290万円 |
| 14級9号 | 32万円 | 110万円 |
12級と14級の違いは、症状を裏づける根拠となる客観的な所見の有無にあります。
MRIやレントゲンなどで神経の圧迫などが確認できる場合は12級に認定される可能性があります。
一方、画像ではっきりとした異常が確認できないものの、症状が続くときは14級にとどまるのが一般的です。
まずは交通事故チームのスタッフが丁寧に分かりやすくご対応いたします
後から腰の痛みが出た場合の注意点
- 早めに病院に行く 受診までに時間が空くと、事故との因果関係を疑われ、治療費や慰謝料が支払われない可能性があります。事故から10日以内を目安に、できるだけ早く病院を受診しましょう。
- 物損事故から人身事故へ早めに切り替える 事故後、少なくとも10日以内には警察に届け出て、人身事故に切り替えましょう。
- 示談は慎重に行う 示談が成立すると、基本的に追加の請求はできません。症状が治りきっていない場合は、示談書に「後日新たな損害が判明した場合は、別途協議する」といった条項を入れておくのが適切です。
交通事故による腰の痛みなどでお困りの場合は弁護士法人ALGにご相談ください
交通事故による腰の痛みは、後から症状が出ることが多く、対応が遅れると十分な賠償を受けられないおそれがあります。
弁護士であれば、痛みが出た場合にどのように対応すべきかについて、法的知識をもとに適切にアドバイスすることができます。また、保険会社との交渉も弁護士が行うため、負担が軽くなり、安心して治療に専念できる点も大きなメリットです。
交通事故による腰の痛みなどでお困りの場合は、交通事故を得意とする弁護士法人ALGにぜひご相談ください。

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保有資格弁護士(栃木県弁護士会所属・登録番号:43946)
