ダブル不倫の慰謝料 相場や請求方法など解説

離婚問題

ダブル不倫の慰謝料 相場や請求方法など解説

宇都宮法律事務所 所長 弁護士 山本 祐輔

監修弁護士 山本 祐輔弁護士法人ALG&Associates 宇都宮法律事務所 所長 弁護士

ダブル不倫とは、既婚者同士が不倫関係にある状態をいいます。

通常の不倫と異なり、関係者が4人に及ぶため、慰謝料を請求する相手や方法、求償権などをめぐって問題が複雑になりやすい点が特徴です。

また、誰に慰謝料を請求できるのか、反対に相手方から請求される可能性があるのかといった、通常の不倫とは異なる問題も生じます。

本記事では、ダブル不倫で慰謝料を請求できる相手や相場、増額のポイント、具体的な請求方法などについて詳しく解説します。

ダブル不倫とは

ダブル不倫とは、既婚者同士が、それぞれ配偶者以外の相手と性的な関係を持つことをいいます。たとえば、妻がいる男性と夫がいる女性が交際している場合、2人の関係はダブル不倫にあたります。

一般的な不倫では、不倫相手の一方が独身の場合もありますが、ダブル不倫では不倫関係にある男女の双方に配偶者がいる点が特徴です。また、ダブル不倫は、2つの家庭が関係するため、通常の不倫よりも問題が複雑になりやすい傾向があります。

慰謝料を請求する相手

ダブル不倫は、不倫関係にある男女の双方に配偶者がいるため、慰謝料を請求できる相手は状況によって異なります。

離婚をしない場合は、基本的に不倫相手に対してのみ慰謝料を請求するケースが一般的です。一方、不倫が原因で離婚する場合は、不倫相手だけでなく、夫婦関係を裏切った配偶者にも慰謝料を請求できる可能性があります。

ただし、請求の可否や金額は、不倫の期間や悪質性、夫婦関係への影響などによって判断されます。

ダブル不倫では慰謝料請求が難しいと言われる理由

通常の不倫に比べて希望どおりの慰謝料を受け取ることは難しい場合があります。

既婚者同士の不倫関係であるため、不倫相手の配偶者も被害者となります。
そのため、自分が慰謝料を請求する一方で、相手側から自分の配偶者に対して慰謝料を請求される可能性があります。

結果として、お互いの慰謝料請求を相殺して解決するケースも多く、最終的な受取額が少なくなったり、実質的に慰謝料の支払い・受取りが生じなかったりすることもあります。

ダブル不倫の慰謝料の相場はいくら?

ダブル不倫の慰謝料相場は、離婚するかどうかによって大きく異なります。
一般的な目安は以下の表のとおりです。

離婚する場合 200万円~300万円
離婚しない場合 50万円~100万円

離婚する場合は、婚姻関係が破綻するほど大きな精神的苦痛を受けたと判断されやすいため、慰謝料は高額になる傾向があります。

一方、離婚しない場合は、夫婦関係への影響が比較的小さいと判断され、慰謝料額は低くなる傾向があります。

ダブル不倫の慰謝料を増額させるポイント

ダブル不倫の期間や頻度

ダブル不倫の期間が長く、回数や頻度が多い場合は、慰謝料が増額される可能性があります。長期間にわたり繰り返し不貞行為を行っていた場合、配偶者への裏切りの程度が大きく、悪質性が高いと判断されやすいためです。

精神的・肉体的苦痛の程度

精神的・肉体的苦痛が大きいほど、慰謝料が増額される可能性があります。

たとえば、ダブル不倫の発覚によって強い精神的ショックを受け、不安障害などの精神疾患を発症した場合、被害の程度が大きいと判断され、慰謝料額の算定で考慮されることがあります。

また、精神的苦痛だけでなく、睡眠障害や体調不良など日常生活に支障が出るほどの影響が生じた場合も重要な判断要素です。

苦痛の程度を示す診断書などの証拠があると、増額の主張につながりやすくなるでしょう。

婚姻期間の長さ

婚姻期間が長い場合、不倫による精神的苦痛も大きいと評価されやすく、慰謝料が増額される傾向があります。

長年にわたり築かれた夫婦関係を裏切る行為は、婚姻期間が短い場合よりも影響が大きいと考えられるため、婚姻期間の長さは慰謝料額を判断するうえで重要な要素となります。

相手の収入

不倫相手や不倫をした配偶者に収入がない場合でも、慰謝料請求をあきらめる必要はありません。慰謝料請求自体は可能ですが、相手に支払い能力がなければ、実際に回収できない可能性があります。

そのため、相手の資力を考慮し、現実的な金額で示談することも選択肢の一つです。
一方、相手が高収入や資産家であっても、それだけで慰謝料額が大きく増額されるわけではありません。

慰謝料は相手の経済力ではなく、不倫によって受けた精神的苦痛の大きさを基準に決められます。

子供の有無

夫婦の間に未成熟の子供がいる場合、慰謝料が増額される可能性があります。

子供がいる家庭では、夫婦が協力して子供を養育し、家庭生活を維持していくことが期待されています。そのため、不倫によって夫婦間の信頼関係や協力関係が損なわれると、配偶者が受ける精神的苦痛はより大きいと評価されるでしょう。

特に、子供が幼い場合や子供の人数が多い場合には、家庭生活への影響がより深刻であるとして、慰謝料額を判断する際に考慮されることがあります。

不倫の主導者がどちらなのか

不倫を主導した側と認められる場合は、慰謝料が増額される可能性があります。

たとえば、自ら積極的に交際を持ちかけた、相手を執拗に誘った、デートや旅行・ホテルの手配を主導したなどの事情があれば、責任が重いと評価されることがあります。

ただし、慰謝料額は主導性だけで決まるものではなく、不倫期間や回数、婚姻関係への影響、離婚・別居の有無なども含めて総合的に判断されます。

夫婦関係が円満だったかどうか

ダブル不倫であっても、夫婦関係が円満だったほど慰謝料は高額になる傾向があります。

不貞行為によって良好な夫婦関係が壊され、受ける精神的苦痛が大きいと評価されやすいためです。特に、不貞が原因で別居や離婚に至った場合は、慰謝料が増額される可能性があります。

一方、不貞以前から夫婦関係が悪化していた場合や、婚姻関係が事実上破綻していた場合は、精神的苦痛が限定的と判断され、慰謝料が減額されることがあります。

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ダブル不倫で慰謝料を請求する方法

慰謝料請求のための証拠を集める

ダブル不倫で慰謝料を請求するには、不貞行為があったことを客観的に示す証拠を集めることが重要です。

主な証拠としては、以下のようなものが挙げられます。

  • ラブホテルや相手方の自宅へ出入りする写真・動画
  • 探偵・興信所の調査報告書
  • LINE・メールなどのやり取り
  • ホテルや旅行の領収書・クレジットカードの利用履歴
  • ツーショット写真

単なる食事やデートの写真だけでは不貞の証拠として不十分な場合もあるため、肉体関係を推認できる証拠を複数組み合わせて集めることが大切です。

当事者間の話し合いで慰謝料の請求額を決める

配偶者または不倫相手に慰謝料を請求し、話し合い(示談)を通じて金額や支払方法を取り決めます。

合意に至った場合は、口約束だけで済ませず、慰謝料の金額や支払期限、今後の対応などを記載した示談書などの書面を作成しておくことが重要です。

話し合いで解決できない場合は、弁護士を通じて交渉を行うほか、裁判所での民事調停や訴訟を検討しましょう。

相手が不貞行為を否定している場合や、慰謝料額に大きな差がある場合は、収集した証拠をもとに裁判所が請求の可否や金額を判断します。

内容証明郵便を送る

慰謝料を請求する方法として、口頭での話し合いのほか、内容証明郵便を利用して正式な請求を行う方法があります。

内容証明郵便を送ることで、「いつ、誰に、どのような請求をしたのか」を記録として残せるため、後の調停や訴訟で証拠として活用できます。
送付する際は、不貞行為の事実や慰謝料の金額、支払期限などを明記しましょう。

ダブル不倫では、不倫相手だけでなく自分の配偶者に請求することも可能ですが、状況によっては相手方の配偶者から慰謝料を請求される可能性もあるため注意が必要です。

合意できなければ調停や裁判を検討

当事者間で慰謝料の条件に合意できない場合は、調停や訴訟による解決を検討しましょう。

調停は、裁判所の調停委員を介し、当事者双方が話し合って解決を目指す手続きです。
勝敗を決める裁判とは異なり、双方が納得できる合意を図ります。

調停でも合意に至らない場合は、最終的に訴訟(裁判)へ進みます。
ただし実務上は、裁判に至る前に交渉や調停で解決するケースも少なくありません。

訴訟では、提出された証拠に基づき、裁判所が慰謝料請求の可否や金額を判断します。

ダブル不倫の慰謝料を請求する際の注意点

慰謝料請求の時効

慰謝料請求には時効があるため、請求を検討している場合は、早めに準備を進めることが重要です。

不倫による慰謝料請求は、原則として「不貞行為の事実と不倫相手を知った時から3年」で時効を迎えます。また、不倫の事実を知らなかった場合でも、「不貞行為があった時から20年」が経過すると、原則として請求できなくなります。

ただし、時効が迫っている場合でも、内容証明郵便の送付や裁判手続きによって時効の完成を防げる可能性があります。

求償権について

「求償権」とは、不倫をした当事者の一方が慰謝料を支払った後、もう一方の当事者に対して負担分を請求できる権利です。

たとえば、AさんとBさんがそれぞれ既婚者で不倫関係にあり、Aさんの妻がBさんに慰謝料を請求したとします。Bさんが慰謝料を支払った後、「Aさんにも責任がある」として、Aさんに支払った金額の一部を請求することがあります。

離婚しない場合、このように慰謝料の一部が配偶者側の負担になる可能性があり、実際に受け取れる金額が減ることがあるため注意が必要です。

ダブル不倫の慰謝料は早い段階で弁護士に相談することをおすすめします

ダブル不倫による慰謝料請求を検討している場合は、早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。

ダブル不倫では当事者が4人になるため、誰に対して慰謝料を請求するのか、求償権をどのように扱うのかなど、通常の不倫問題よりも複雑な判断が必要です。

弁護士法人ALGでは、ダブル不倫特有の事情を踏まえ、慰謝料請求の進め方や相手との交渉についてサポートしています。

お一人で悩まず、適切な解決を目指すためにも、まずはお気軽にご相談ください。

宇都宮法律事務所 所長 弁護士 山本 祐輔
監修:弁護士 山本 祐輔弁護士法人ALG&Associates 宇都宮法律事務所 所長
保有資格弁護士(栃木県弁護士会所属・登録番号:43946)
栃木県弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。