監修弁護士 山本 祐輔弁護士法人ALG&Associates 宇都宮法律事務所 所長 弁護士
離婚届を提出する際には、証人欄への署名が必要です。
しかし、「誰に頼めるのか」「家族や友人でもよいのか」「証人になるリスクはあるのか」など、不安を感じる方も少なくありません。
証人欄に不備があると、離婚届が受理されない可能性もあります。
そのため、あらかじめルールや注意点を理解しておくことが大切です。
この記事では、証人になれる人の条件や、頼める人がいない場合の対処法などについて、詳しく解説します。
離婚届を出す際は証人が必要
協議離婚の離婚届には、必ず2名の証人による署名が必要です。
夫婦が離婚に合意して離婚届を作成しても、証人欄が空欄のままでは役所に受理されません。証人の署名は、協議離婚を成立させるために必要な要件です。
記入漏れや誤記などの不備があると、離婚届を再提出しなければならず、手続きが遅れる可能性もあります。そのため、提出前には証人欄の記載内容をしっかり確認しておきましょう。
証人になれる人の条件
離婚届の証人になれるのは、離婚する夫婦以外の「18歳以上の成人」です。
以前は20歳以上が条件でしたが、民法改正により成年年齢が引き下げられ、現在は18歳以上であれば証人として署名できます。
証人に特別な資格は必要なく、親族や友人、上司など誰に依頼しても構いません。
実際には両親や友人に依頼するケースも多いです。
なお、証人欄は証人本人が自筆で記入する必要があり、代筆は認められていません。
証人が不要になるケース
離婚届で証人の署名が必要なのは、夫婦の話し合いで離婚する「協議離婚」の場合です。
一方、次のような方法で離婚する場合には、証人は不要です。
- 調停離婚
- 審判離婚
- 裁判離婚
このようなケースでは、裁判所が夫婦の離婚意思を確認・証明しているため、離婚届の証人欄は空欄で問題ありません。
もっとも、離婚が成立したことを示すために、役所へは「調停調書」や「判決謄本」などの書類を提出する必要があります。
証人は保証人とは違う
離婚届の証人は、借金の返済義務を負う「保証人」とは異なります。
「証人」と聞くと、大きな責任があるように感じるかもしれません。
しかし、離婚届における証人は、「夫婦に離婚する意思があることを確認した第三者」という立場にすぎません。
証人になっても、金銭的・法的なデメリットを負うことは一切ないため、安心して依頼を受けられる手続きです。
離婚届の証人が必要な理由と役割
離婚届に証人が必要とされる理由は、主に次の3つです。
- ① 離婚届が、本人たちの意思で作成されたことを確認するため
- ② 夫婦双方に離婚の合意があることを第三者として示すため
- ③ 夫婦の一方が、勝手に離婚届を提出する不正を防ぐため
これらの理由から、協議離婚では離婚届に証人2名の署名が必要とされています。
証人には、夫婦の離婚意思が一致していることを第三者の立場で確認する役割があります。
証人欄に署名があることで双方の合意を客観的に示すことができ、後から「離婚に同意していない」といったトラブルを防ぐ効果も期待できるでしょう。
このように、証人制度は、離婚手続きの適正性と信頼性を確保するための重要な仕組みとして設けられています。
証人が見つからない場合の対処法
身近に証人を頼める人がいない場合でも、弁護士に離婚手続きを依頼していれば、事情に応じて証人になってもらえるケースがあります。
実務上、弁護士が依頼者の意思確認を適切に行ったうえで対応するため、安心して手続きを進められる点が特徴です。
また、行政書士などの専門家が対応する 「離婚届の証人代行サービス」 を検討する場合でも、利用可否や注意点について弁護士に相談しておくと安心です。
無理に知人へ依頼して気まずくなる前に、一度弁護士に相談してみるとよいでしょう。
証人欄の書き方と記入時の注意点
証人欄には、①署名(※押印は任意ですが、押印しておくと安心です)、②生年月日、③住所、④本籍地を記入します。
必ず証人本人が黒インクのペンまたはボールペンで自筆してください。
本籍地がわからない場合は、戸籍謄本や本籍記載のある住民票で確認できます。
また、書き間違えた場合は修正液を使用せず、二重線と訂正印で修正しましょう。
あらかじめ欄外に捨て印や捨て署名をしておくと、軽微なミスであれば役所側で訂正してもらえるため安心です。
証人欄の不正記入・代筆のリスク
離婚届の証人欄は、必ず証人本人が自筆で記載しなければなりません。
本人以外による代筆や、無断で知人の名前を記入する行為は、有印私文書偽造等の罪に問われるおそれがあります。
さらに、役所で受理されないだけでなく、後から離婚の無効を主張されるなどのトラブルに発展する可能性もあります。
離婚届は重要な公的書類です。後々の法的リスクを避けるためにも、正しい方法で手続きを行いましょう。
あなたの離婚のお悩みに弁護士が寄り添います
離婚届の証人に関するQ&A
離婚届の証人欄に記入してほしいと頼まれました。引き受けたらリスクはありますか?
通常どおり証人として署名するだけであれば、法的なリスクや金銭的責任(借金の肩代わりなど)を負うことはありません。
証人の役割は「双方に離婚の意思があること」を証明するだけで、保証人とは異なるためです。
夫婦が手続きを慎重に進めたいがゆえの依頼ですので、基本的には安心して署名して大丈夫です。
ただし、トラブル防止のため、必ず「夫婦二人の署名があること」を確認してから記入しましょう。
友人の名前を貸してもらえることになりました。離婚届の証人欄に自分で書いても良いですか?
たとえ友人の了承を得ていても、本人以外が証人欄に記入することは認められていません。
証人は「署名した本人」が記入する必要があり、他人が代筆すると無効になる可能性が高いです。
役所は筆跡や本人確認を求めることもあり、虚偽記載と判断されれば受理されないリスクもあります。
トラブル防止のためにも、必ず友人本人に直接記入してもらいましょう。
証人を頼める人がいません。役所の窓口の人に頼むのはアリですか?
役所の窓口職員に証人を依頼することは、原則としてできません。
証人は、夫婦の離婚意思を知っている第三者である必要があります。
役所の職員は手続きを受け付ける立場のため、証人になることは通常認められていません。
身近に頼める人がいない場合は、親族や友人以外の信頼できる第三者への依頼や、弁護士への相談を検討しましょう。
離婚についてお悩みの方は弁護士にご相談ください
離婚手続きは、慎重さが求められる手続きです。
誤記や代筆は虚偽記載と判断されるおそれがあり、離婚無効や刑事責任といった重大な問題につながることもあります。
弁護士にご相談いただければ、今回のような手続き上の不安だけでなく、離婚条件の精査や交渉のアドバイスなど幅広くサポートを受けることが可能です。
離婚届に関するお悩みや、離婚手続きをスムーズに進めたい方は、ぜひ弁護士法人ALGへご相談ください。

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保有資格弁護士(栃木県弁護士会所属・登録番号:43946)
