監修弁護士 山本 祐輔弁護士法人ALG&Associates 宇都宮法律事務所 所長 弁護士
交通事故を弁護士に任せると、慰謝料の増額が期待できるほか、保険会社との面倒なやり取りを任せられるなど、多くのメリットがあります。
しかし、状況によっては弁護士費用が増額分を上回り、費用倒れとなる可能性もあります。
せっかく依頼したのに、手元にほとんどお金が残らない事態は避けたいところでしょう。
そこで、本記事では、弁護士に依頼したときに費用倒れになりやすいケースや、費用倒れを避けるための方法について解説します。
目次
交通事故で弁護士に依頼すると費用倒れになりやすい5つのケース
①物損事故
交通事故で受けた損害が物損のみの場合、弁護士に依頼しても賠償額が増えにくく、費用倒れになる可能性があります。
物損とは、車や積んでいた荷物が壊れるなど、物に生じた損害をいいます。
物損事故では基本的に慰謝料は認められません。
修理できるときは修理費、修理が難しいときは車の時価など、客観的な基準で賠償額が決まります。
支払われるのは実際にかかった費用の範囲にとどまるため、過失割合や因果関係が争われるなど特別な事情がない限り、弁護士が介入しても大幅な増額は期待できません。
②加害者が任意保険に未加入
加害者が無保険だと、十分にお金を回収できず、費用倒れになる可能性があります。
任意保険に未加入である場合は、自賠責保険が頼りになりますが、支払の算定は自賠責保険の基準によることとなる上、傷害は120万円、死亡でも3000万円と支払金額の上限もあります。
これは、治療費や慰謝料などを合わせた金額であるため、実際の損害を完全にカバーできないことも多いです。また、上限を超えた分や、修理費などの物損は、加害者本人へ請求する必要がありますが、支払い能力がないと回収が難しくなります。
結果として、弁護士が関与しても回収額はあまり増えず、費用負担が大きくなる可能性があります。
③怪我が軽傷
ケガの程度が軽い事故では、慰謝料の増額幅が小さく、弁護士に依頼しても費用倒れになる可能性があります。
入通院慰謝料は、通院期間や通院日数をもとに算定されるため、1ヶ月ほどで完治するような軽いケガでは、増額できる金額も限られます。
例えば、むちうちで通院1ヶ月、通院日数15日の場合の慰謝料相場は、自賠責保険や任意保険の基準で約13万円、弁護士基準で約19万円です。
弁護士が介入しても増額は最大で6万円程度にすぎず、弁護士費用がこれを上回る可能性が高くなります。
④被害者の過失割合が大きい
被害者の過失割合が大きいと、回収できる賠償金が少なくなり、費用倒れになることがあります。
過失割合とは、事故の責任が被害者と加害者にどの程度あるかを示すもので、この割合に応じて賠償金も減額されます。
例えば、過失割合が「加害者:被害者=6:4」の事故で、保険会社の提示額80万円が、弁護士の交渉で120万円に増えたとしましょう。
被害者の過失40%が差し引かれるため、実際の増額は24万円にとどまります。
見た目の増額よりも利益が残らず、費用負担が重くなる可能性があるため注意が必要です。
⑤事故の証拠不足
証拠が不足していると、賠償金を増やすことが難しくなり、費用倒れとなるおそれがあります。賠償金は、客観的な証拠をもとに判断されるため、根拠が不十分だと適正な金額が認められません。
事故を警察に届け出ていないと事故自体が認められない可能性があり、ドライブレコーダーや防犯カメラ映像、目撃証言がないと、過失割合で不利に判断されることもあります。
さらに、通院記録や診断書が乏しい場合は、後遺障害等級が認定されない可能性もあるため、十分に証拠を集めておくことが大切です。
交通事故で弁護士に依頼して費用倒れになる理由
交通事故の弁護士費用の内訳
交通事故で弁護士に依頼するときは、主に以下の費用が発生します。
- 相談料 弁護士に相談する際の費用。30分5000円程度が相場で、初回無料の事務所も多いです。
- 着手金 正式に依頼するときに支払う費用。相場は10万円以上で、結果に関係なく着手後は基本的に返金されません。
- 成功報酬 示談や裁判で賠償金を受け取ったときに支払う費用。獲得した金額の10%~20%程度が相場です。
- 日当 弁護士が裁判や現地調査を行う際に発生する費用。半日・1日単位で数万円程度が目安です。
- 実費 収入印紙代や郵送費、交通費、コピー代など
費用倒れになる賠償金額の目安
弁護士に依頼した場合、費用倒れとなる賠償金額の目安は、契約内容によりますが、例えば以下のようになります。
| ケース | 着手金(税込) | 成功報酬(税込) | 費用倒れになる経済的利益 |
|---|---|---|---|
| ケース1 | 0円 | 経済的利益の11%+22万円 | 約25万円以下 |
| ケース2 | 0円 | 経済的利益の11%+19.8万円 | 約22万円以下 |
| ケース3 | 11万円 | 経済的利益の22% | 約14万円以下 |
弁護士費用の設定によって費用倒れのラインは大きく変わります。
そのため、「着手金が無料だからお得」と考えるのではなく、成功報酬の計算方法まで含めて確認することが重要です。
依頼前に、弁護士から費用の総額と回収見込みについて十分に説明を受け、費用対効果を見極めたうえで判断するようにしましょう。
まずは交通事故チームのスタッフが丁寧に分かりやすくご対応いたします
交通事故での費用倒れを避ける4つの方法
①弁護士費用特約を利用する
費用倒れを防ぐ方法として有効なのが、弁護士費用特約の活用です。
この特約を利用すれば、弁護士費用の多くを保険会社が負担してくれるため、自己負担を気にせず安心して依頼できます。
一般的には、法律相談料10万円、弁護士費用300万円まで補償されるため、費用倒れの心配はほとんどありません。
また、この特約は自動車保険だけでなく、火災保険やクレジットカード、さらに家族の保険にも付帯していることがあります。
自分にはないと思い込まず、一度保険の内容を確認してみてください。
②事前に弁護士に見積もりを出してもらう
費用倒れを防ぐためには、弁護士に依頼する前に、「かかる費用」と「受け取れる見込みの賠償金」をしっかり確認しておくことが重要です。
あらかじめ見積もりを取ることで、依頼するとどのくらい手元に残るのかを具体的にイメージしやすくなります。
また、弁護士も費用倒れのリスクがある案件については慎重に判断するため、相談時には現実的な見通しを丁寧に説明してくれることが一般的です。
不安な点は遠慮せずに確認し、納得したうえで依頼することが大切です。
③完全成功報酬型の弁護士に依頼する
完全成功報酬型とは、成果が出たときにだけ費用が発生する料金体系のことです。
相談料や着手金などの初期費用がかからないため、万が一賠償額の増額が小さかったとしても、費用倒れのリスクを抑えやすいのが特徴です。
ただし、完全成功報酬といっても、報酬の計算方法や対象となる金額によって最終的な負担は異なります。
思ったより費用がかかってしまうケースもあるため、契約前に見積もりを確認し、内容をしっかり理解したうえで依頼することが大切です。
④司法書士・行政書士に依頼する
費用を抑えたい場合は、司法書士や行政書士に依頼する方法もあります。
弁護士に比較すると関与してもらえる部分は限定的になりますが、報酬が低い傾向があるため、費用倒れを防ぎやすいのがメリットです。
損害額が小さい物損事故や、自賠責保険への請求手続きだけを任せたいケースなどでは有効な選択肢です。
ただし、先述のとおり、依頼できる内容には制限があります。司法書士は140万円以下の案件のみ交渉可能で、行政書士は示談交渉自体ができません。
依頼しようとしている内容が対応可能かどうかを事前に確認し、適切な専門家を選ぶようにしましょう。
交通事故の弁護士費用は相手に請求できる?
示談交渉の段階では、基本的に弁護士費用を加害者に請求できません。
弁護士に依頼するかどうかは被害者の任意とされているため、自己負担となるのが一般的です。一方、裁判では扱いが異なり、弁護士費用の一部を請求することが可能です。
裁判では専門的な対応が必要となるため、弁護士への依頼が相当と認められるためです。
一般的には、裁判所が認めた賠償金の約10%を弁護士費用として請求できます。
例えば、賠償額が200万円と認められた場合は、基本的に判決を得る場合となりますが、弁護士費用20万円の支払いを受けることが可能です。
弁護士法人ALGの無料相談では費用倒れの可能性を確認できる
弁護士法人ALGでは、基本的に相談料や着手金を無料とし、成功報酬型を採用しているため、費用倒れのリスクを抑えながらご依頼いただけるのが特徴です。
相談時には、事故の内容や証拠を確認し、見込まれる賠償額と費用についてご説明します。
最終的に手元に残る金額の目安を確認できるため、依頼するかどうかを冷静に判断することが可能です。
また、費用倒れの可能性が高い場合は無理に依頼をすすめず、司法書士などへの依頼や、保険の活用など、より負担を抑えられる方法をご提案します。ぜひお気軽にご相談ください。
交通事故による弁護士費用で費用倒れが心配な方は、まずは無料相談をご活用ください。
弁護士への依頼を検討するとき、費用倒れを心配する方は多いです。しかし、示談交渉や後遺障害等級認定は専門性が高く、知識や経験によって結果が大きく変わる分野です。
弁護士に任せることで、適正な賠償額を得られる可能性が高まります。
弁護士法人ALGでは、交通事故の豊富な実績と、保険会社との交渉力を活かし、ご依頼者が有利な結果を得られるようサポートすることが可能です。
無料相談も行っており、費用や解決までの見通しをわかりやすくご説明しますので、ぜひご相談ください。

-
保有資格弁護士(栃木県弁護士会所属・登録番号:43946)
